※液体ミルクは2019年3月に販売解禁されました!これに伴い、追記記事を書きましたので、よろしければご覧ください。
今回は液体ミルクのことについて書いていきたいと思います。
液体ミルク。
現在、日本では液体ミルクの規格基準が定められていませんので、国内メーカーは製造していません。Amazonとかで海外製液体ミルクが販売されていますが、これは”乳飲料”として販売されています。特に禁止されているわけではないので安心してください。というか、欧米では液体ミルクのほうが支持を得ているそうです。
意外なことに国内での製造は禁止されていないのですが、Amazonがこれほど普及した中でも、一般消費者が液体ミルクを手にすることはほとんどありません。
しかしながら、災害時には大活躍しています。近年の大震災では非常に重要な役割を担ったようです。
液体ミルクのメリット・デメリット
以下は、一般社団法人 乳児用液体ミルク研究会が作成した「乳児用液体ミルクについて」をもとに記載しています。
メリット
- 液体ミルクは開封後ニプルを取り付けてそのまま飲ませるだけで良い
- 製造工程や調乳工程での細菌汚染の確率は粉ミルクに比べて低い
- 清潔な水が確保できない災害時にも活躍する
粉ミルクはというと、計量して、70℃以上のお湯で溶いて、湯冷ましを入れて、冷まして・・・
というように結構な手間がかかりますが、そういった手間が一気に省けるようです。
これはいいな~
デメリット
ただ、デメリットもあるようです。
- 値段が高い
- 哺乳瓶を拒否られてもどうしようもなかったり、味の好みで飲んでくれなかったりする
- 消費期限が短い。米国では1年。日本では6ヶ月くらい
価格が高いは致命的ですね。
ガンガン使う消耗品だから、高価になってしまうと、需要がなくなり、結果として普及が進まなくなる虞があると思います。ですので、各メーカーにはぜひ頑張っていただきたいですね。
でも、利益とリスクを考えると、政府主導のしっかりした後ろ盾が必要だと思います。望ましくはないですが、補助金事業としてやらないと進まないかも・・・
しかし、この点については、一般社団法人日本乳業協会の説明資料で以下のように要望しています。
平成 21 年 4 月に当協会が国に要望書を提出した当時、すでに海外において「乳幼児用調製液状乳」が製造・販売されていることから「日本においても将来、そうした新しい分野に可能性がある」との考えに基づき、消費者における利便性を考慮して要望したもの。
販売促進活動は実施できないことから、政府等の広報、行政の協力、支援を希望する。
やっぱりね。しっかりと官民一体となって促進してほしいものです。
こうして、男性の育児がもっと推進されると良いですね。
ちなみに、私は、男性の育児って考えがナンセンスだと思っています。
「男性の育児参加」ってわざわざ言わないとダメなのかと。
生物界ではそんなの当然で、先進諸国でも当然なのに、わが国ではそんなことをわざわざ宣言せにゃならんとは。
会社人間とかいう言葉が奉られて、21世紀まできているのだから。まぁ、それはぜんぜん悪いことではなくて、むしろ日本の伝統的・根源的なものかもしれませんので、そういった人も必要ですけど。
そうでない人もいても良いのだと思います。
ダイバーシティな社会的な仕組み、企業の旧態依然とした労働環境が望まれます。
というのは良いとして(笑)
ちなみに、液体ミルクが販売されていないのはG8(日、米、英、仏、独、伊、加、露)の中では日本のみということです。
フィンランドでは、粉ミルクより若干液体ミルクのほうが高いものの、9割の人は液体ミルクを選ぶそう。
政府の動向
この液体ミルクの解禁に向けた動きについて、2016年10月17日午前の官房長官記者会見で検討状況について言及がありました。記者会見の内容は、一次情報としては動画しかありませんが、「平成28年10月17日(月)午前-内閣官房長官記者会見」で確認できます。9:02くらいから液体ミルクについての質疑があります。
そこでは、官房長官から以下のような言及がなされています。
男女共同参画会議において、有識者から「震災時の有用性だけでなく、平常時も男性の育児参加を進める上で乳児用液体ミルクは有効である」という意見があった。
一億層活躍担当大臣から「こうした問題提起をしっかり受け止めたい」という発言があり、今後専門調査会で検討が行われると承知している。
上記で官房長官が述べている専門調査会「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」において、平成28年11月14日開催の第2回会議の議事が公開されていました。こちらの資料から委員の発言の中身を見ていきましょう。
選択肢を増やすことは非常に重要。母乳の推進を阻害するものでもなく、選択肢を増やす一つということで、政府としては後押しをしていければいいのでは。
今ある海外商品を普及させ認知度を高めて、抵抗を取り払ってから、日本製が参入できれば良いのでは。日本製品への安心感を持つ方が多いので、商品として開発しても十分よいものになるのでは。
コンビニエンスストアや自動販売機で手軽に買えたり、レストランなどで、大人がお茶を頼むように子供の乳幼児ミルクが提供されたり、色々なところに準備されるような開発がされると、男女ともに家事・育児の負担軽減になる。
などなど。他にも意見はありましたが、上記は大事な観点だと思います。
政府として後押しして、商品力を高め、その普及をしていくということが重要だということ。
今後どう進んでいくのか
今後、液体ミルクの解禁に向けてどのように進んでいくのでしょうか。上記専門調査会の資料で厚生労働省の「乳児用液状ミルクについて」において、下記の2点のデータを踏まえて規格基準の設定の検討を進めるとしています。
- 開封後の微生物の増殖の増殖データ
- 保存試験等のデータの提供
しかし、上記2点の依頼は平成21年8月にされており、それから7年以上が経過している状況です。
商品化の目処が立たない中、メーカー、業界団体としてもなかなか資源を投入しづらいのでしょう。しょうがないと思いますが、ここにきて官房長官からの発言をもとに新聞各紙でも大々的に発表されています。今後の進展に期待しましょう!
2019年3月 液体ミルクついに解禁!(2019年11月更新)
2019年3月5日に江崎グリコと明治は、消費者庁から「乳児用」「母乳の代替食品として使用できる」と表示して販売する許可を受けました。
これで順次、一般市民にも液体ミルクが手に届くこととなりましたね。
液体ミルクの特徴は以下だと思います。
- 哺乳瓶に注いでそのまま飲める
- 外出時にお湯がない時・場所でも飲める
- 常温保存できる=災害用備蓄品になる
- ただし、少々高い
とくに一個目の点が大きいのではないのでしょうか。
そのまま飲めるってすごいことですよ!!
だって、計量して、お湯で溶かして、冷まして、飲ませる・・・という工程がいらなくて、一気に飲ませる工程までぶっ飛ばせるのですから。
眠い夜や朝方の授乳時には夢のような製品ですね!
2019年11月現在、「アイクレオ」と「ほほえみ」の2ブランドから液体ミルクが販売されています。
この2製品を比較してみたいと思います(メリットかなと思うほうに黄色マーカー引いています(あくまで主観です))。
アイクレオ | ほほえみ | |
メーカー | 江崎グリコ | 明治 |
発売日 | 2019年3月11日 | 2019年4月26日 |
価格 | 約216円/個 | 約245円/個 |
容量 | 125mL | 240mL |
単位量当たりの価格 | 1.73円/mL | 1.02円/mL |
充填方法 | 紙パック | スチール缶 |
殺菌方法 | 超高温短時間殺菌 | 高温加圧殺菌(レトルト殺菌) |
ミルクの色 | 白色 | 茶色味 |
保管期限 | 約6ヶ月間 | 約1年間 |
「ほほえみ」のほうが「アイクレオ」よりも1mL当たりの価格が安いのですね。
そして、外国製みたいにニプルを取り付けて飲むタイプではなく、哺乳瓶に移して飲みことになるようですね。
栄養分については、『一次情報から読み取る!粉ミルクの選び方』にも書いたとおり、入れて良い成分や量は規制されているので、両製品ともほとんど変わりません。
また、粉ミルクと液体ミルクでも栄養分の差はほとんどありません。
保管期間の差は殺菌方法の差からくるもので、「ほほえみ」のほうが長いのはかなりのメリットですね。
あとは、子どものミルクの飲みっぷりで判断すべきでしょう。良く楽しく飲んでくれるものを選ぶのが一番最適な選択ですよ。
そして、粉ミルクと液体ミルク片方だけに頼るのではなく、状況に応じて(普段はコスパの良い粉ミルク、外出や深夜は液体ミルク・・・というように)使い分けていくのがベストかなと思います。
良い製品がこれからもどんどん出てくると思いますので、男性育児の環境は高まってきます。それに乗り遅れないようウォッチしていかなければなりませんね。
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